オッドアイ

「はぁー…痛い…」

「右足が張ってるわね。昨日なんかムチャしたんでしょ?」

保健の先生は飽きれたように湿布を張った。

「いやーいっつもすいません!」

「あんた最近こーいうの多いわよね。」

「えっ」

「おかしいと思ってたのよ。去年の半ば辺りから空手じゃあ考えられないようなアザがあったり、切り傷がたくさんあったり、酷い時はザックリ切られたような跡があって傷が開いて」

「あはは。いやぁ、そーいうのありましたね!」

「アンタなんかヤバいことしてんじゃないでしょうね」

ゲッ保健の先生にも怪しまれるのか俺!?

「ま、まぁ、今回はただの肉離れですから!ほら、弟が脱走して」

「アンタ昨日バイク走らせてたじゃない。」

「えっ…と」

「誤魔化してもムダよ。お隣りなんだから。お姉さんにチクらないだけ感謝しなさいよね」

そういって先生は笑った。

「…はいはーい」

保健の先生は実は俺のお隣りさんだ。

佐々木みゆきという。

姉との高校生からの仲であるらしい。

今のマンションもこの人が紹介してくれた。

「本当は、来てくれる方が嬉しいんだけどね。」

「ん?何か言いました?」


「遼一ー、着替え持って来たぞ。」

増田が俺達の会話を遮るように入ってきた。

「おー、サンキュー。わざわざ悪いな」

「ジャージは砂で汚れてるから、制服に着替えてベッドで少し足休めなさい。」

「あー、はい。」

そして佐々木先生は増田に礼を言いながらドアをの外に出る。

「じゃあ私、ちょっと用あるから開けるけど、歩けないようだったら職員室まで電話してね」

「あっ、はい…。」


佐々木先生はそっと静かにドアを締めた。


着替えるのに気を使わせてしまったかな…


まぁいいか。


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