オッドアイ

「っていうか何?誰?グラウンド突っ走って・・・」

エンジンの切れた音がして、安心してくるみが窓にへばりついた。


するとベンツの運転席が開いた。

「あれ、女の人・・・?」


出て来たのは長い髪をした女だった。

年は20代後半と見たが、キリッとした顔つきをしていて、肌に透明感があった。

少しグレーのかかったスーツも似合っている。

足元は高いヒールを履いていて、少し短いタイトスカート。


そしてその横には


銃がちらついていた。



「アイツ!!痛!!!」

「ちょっとりょーいち!?駄目だよ動いちゃ、肉離れ・・・」

「あの女・・・手に銃持ってる!」

「えぇ!?」

くるみは大きな声を出して女の方を素早く見る


銃が目に入り、声が出なくなっていた。


その刹那、女と目が合う。



女は立ち止まって、にこりと不気味な笑みを見せた。


「・・・っ」


その微笑みが全てを語っていることは言うまでもない。

「ちょっとりょーいち!!駄目だって行っちゃ!!足ケガしてるのに!」

「大丈夫だ。少し良くなったから!イタッ!!」

俺はくるみの手を振りほどいて床に足を着いたが、案の定痛みが走る。

「ほら、だから言わんこっちゃな」

「うわぁぁぁ!!!!!!」

「!!」

突然叫び声が聞こえてくる。

すぐ近くの事務室からだ。

「あたし職員室に連絡する」

「いや、いい。」

「なんで・・・りょーいち、なんで靴履いてるの!?」

「ムダにパニクったって相手の思う壺だ。皆が逃げ出したら乱射の可能性だってある」

「え・・・じゃぁまさかテロ・・・」

「それはどうだろ。銃声はしてない。今のところ事務員のおっちゃんの叫び声だけだ。」

「だから何・・・?」

「おっちゃんを人質に取って何かするつもりなんだろう。」

「え?何をするっていうの?」


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