流星
子供だったから、忘れられなかった。
気持ちを振り切って捨てたことを、今では後悔している自分すらいるくらい。
後悔して初めて知ったこともある。
捨てるには多すぎた。
抱えるにはもっと多すぎた。
その全てをあなたはわたしにくれた。
わたしには抱えきれないくらいの幸せや愛、悲しみや怒り、笑顔や涙。
あなたがくれなかったら得られなかった。
『…好きだから、だろ?』
あんなに愛してくれた人を、裏切ってしまったのは紛れもない、このわたしだった。
すがっていた手を離し、1人で平気だと強がって嘘に気づかれないように。
さよならすらきちんと言わなかった。
『忘れるために好きになったんじゃねぇ!』
――忘れられるわけ、ない。
わたしの都合で振り回して、わたしの都合で傷つけてしまったのだから。
人生をもう一度やり直せるなら、どうか出会わないままでいさせて欲しいとすら思う。
あなたを傷つけないですむのなら、どんな人生でもかまわない。
……かと言って、タイムマシンがあるわけでもないし、そんな力もないし。
過去には決して、戻れないのだ。