流星


「健くんもうすぐ高校受験でしょ?結局どこにしたの?」

「それがね、寮のある高校から推薦がきてたのに、いきなり駅の近くにある高校にするって言い出して」

「えぇっ?あそこ、そんなに学力高くないよねえ?」

「親に似ないで頭のいい子だから、考えがあるんだと思うんだけどね…」

ふぅと溜息をつくのは健と勇人の母である――由利。
出張の多い夫の分も兄弟2人を愛情一杯に育てている。


「若いうちにしかできないこともあるから、心配しなくても大丈夫…って言えたらいいんだけど…うちも最近になって塾を辞めるって言い出したの」

「星奈ちゃんが?」

「別にお遊び程度にさせてたからいいんだけどね、何回聞いても理由を話してくれないからちょっと心配だなぁって」

「勇人と星奈ちゃんも卒業だし、いつまでも子供扱いしてられないわね」

由利の言葉に「うんうん」と頷いているのは星奈の母である――奈々絵。
自身が小学校教諭なこともあり教育熱心だが、勉強を理由に縛り付けたりはしない理解力のある母親だ。

< 31 / 45 >

この作品をシェア

pagetop