流星


「それにね、あたし気付いちゃったんだけど…」

「えっ、なになに?」

「星奈ってば、健くんのこと好きなんじゃないかなあ?」

「うっそぉ!」

「だって最近妙に星のこと聞いてくると思ったら『健兄と星見るの!あと勇人も』って言ってさぁ…明らかに勇人くんおまけになってるじゃん…」

「勇人は星奈ちゃん好きなのになあ…可哀想…」

「勇人くんってそうだったの!?」

「あれ、言ってなかったっけ?」

「聞いてない聞いてない!初耳よ!」

奈々絵はテーブルに上半身を乗り出しながら「いつから!?」と興奮したように聞いた。
それに「えーっと…」と思い出すように腕を組む由利。


「確か…小学校の2年生くらいから、かなあ?」

「勇人くんの片想い歴、案外長いわね…」

「一途に想ってるのに、まさかライバルが兄とは泣けるわ……」

「私は勇人くんのこと息子にしたぁい!」

「ま、どっちみち星奈ちゃんは私の娘になるわけね!」

「私たちの関係はどうなるの?」

「子供同士が結婚するから……まぁ、親戚にはなるよね?」

それいい!と奈々絵が由利に笑顔を向けたちょうどそのとき、玄関から「ただいまぁー」と2人の声が聞こえ、その後に続くように「お邪魔します…」と遠慮気味な声が聞こえた。

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