流星


「…あのさぁ、健」

健の耳の赤らみが冷めたころ、あたしは気になっていたことを聞こうと目線をあげる。

「んー?」

「…流れ星に、なにをお願いするの?」

必死に空を見上げて流れ星を待っている健が少し、大人っぽく見えるから。
あたしの知らない健がいて、なにが健をそんな風にするのか、気になっていた。
健は少し目線を下げて、言う。


「……『俺にとって大切な奴が、俺を好きになってくれますように』って、」


――瞬間、心臓が握り締められたかのように痛く、苦しくなった。


「…って、てっきり『女の子にモテたい』とか、そういうことかと思ってた!」

「俺をなんだと思ってんだ…」

「いやーでもそういうのいいね。大切な奴って、好きな人?あ、もしかして彼女っ?」

「心配しなくても、星奈じゃねーよ」


――今度は鈍器で殴られたようだった。

わたしは健が好きだ。
それは幼なじみとして長い時間一緒にいたからでも、健しか男の子を知らなかったわけでもなく……純粋に、ただ、大好きなんだ。

だから、苦しくて、悲しくて。
涙が流れていることに、自分では気付くことかできなかった。

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