流星


ちっぽけなわたしたちは、いつもマンションの屋上で、ちっぽけな星を見ていた。
健とわたしの、たった2人で。

もし健に好きな人がいるのなら、この時間は近いうちに終わりを告げることになる。
わたしたちの関係はその程度だった。
お互いに肩を寄せていられるのは、星を見ている、たった1、2時間だけ。


「……関係ない、よね」

健は流れ星を探している。
わたしといるためではなく、大切な誰かに好きになってもらいたいから。
ここにいるのがわたしでなくてもいいのだ。
例えわたしがいなくても、きっと健は別の誰かと一緒に流れ星を探すのだろう。

「…わたし、帰る」

「は?…ちょっ、待てよ」

「やだ!帰るの…っ!」

「帰るっつったって、お前高いところダメだろ!1人でここ下りれんのか!?」

「大丈夫だもん…!」

マンションの屋上に来るためには、階段を上ってこないといけなかった。
その階段は外部に付いていたため、高所恐怖症のわたしは1人で上れたことがない。
もちろん、1人で下りたこともない。

でも、早く屋上から出たかった。
健に涙を見られるのが――嫌だった。

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