貴様に届け――…
トラは一番でかい真っ赤なソファーに寝転がり寝る体制に入っている。

追い付いた少年二人は、トラの行動を見ているがとりあえず近くのソファーに座った。

「……何も聞かないんですね」

今まで口を閉じていた少女がトラの様子を伺いながら口を開いた。

「聞いても意味がない。ここにいる奴等は、皆何かしら抱えてるもんがある。
言いたくねぇことは、誰にもあるだろ?
だから私は無理をしてまで話しを聞くつもりはない」

腕を目の上にあてながらトラは答えた。

「安心しろ。警察に突き出したりしない」

「トラさん…」

「その痣…誰かにやられたんだろ?別に今更一人増えたってなんら変わりはない。
好きなだけここにいろ」

一瞬…ほんの一瞬だが、トラは少女に微笑んだ。
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