貴様に届け――…
「うわぁぁぁぁ!!!」

突如、少女は崩れるように泣き出した。

「帰る家が…ッ…ないんですっ!!!両親はいないし…ヒクッ…親戚にたらい回しされて…!!!!」

少年達は静かに席を立ち、部屋を出て行った。

「家にいても叔父さんに殴られるしっ!!!!学校でも…殴られるし!!!!なにもかも嫌だったんです…ッ…!!!!」

「……おいで」

スッと腕を広げると少女はトラに抱き着いた。

ただ、何も言わずトラは少女の頭を撫でるだけ。

今何かを言ってもただの同情に過ぎない。
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