貴様に届け――…
「トラ!!いいのかよ!!?」

「……あぁ」

赤色の少年がすぐさまトラの腕を掴み男と引き離した。

「とととと、トラ!!!?」

「おいっ、やべぇよ…
もしかしてここって「私等の縄張りだ」すいませんでしたっ!!!!!」

慌てて男達はトラから逃げた。

「……あからさまに私嫌われてるのか?」

「いや…、櫻舞がデカすぎるんだよ」

「あっ…あのぉ…」

二人で話していると背後から声をかけられた。

「助けていただきありがとうございました」

「…気をつけな。ここは危ないから」

トラはチラッと少女を見たがすぐに視線を外した。

「早く帰りな」

それだけ言うとトラは先に歩きだした。

赤色の少年もトラに続き少女に完全に背を向けた。

少女はただ俯いて、大きめのバッグを握りしめるだけ。
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