貴様に届け――…
数歩歩いた先で突如トラは立ち止まった。

「トラ?」

赤色は疑問に思いトラを見下ろした。

小さくため息を吐くのがわかったがあえて聞かなかった。

「お嬢さん、私についておいで。帰る家…ないんでしょ?」

顔だけ振り返りトラは言った。

少女はその言葉を聞いたのと同時に表情が明るくなった。

トラは少女を待たずにそそくさと先を歩く。
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