貴様に届け――…
古びた倉庫の前に綺麗に整頓されて並ぶ単車や原付き。

扉を開くと半端ない人数の男女があちこちで溜まっている。

トラに気付くと頭を下げ挨拶する奴等ばかりだ。

「ちわーっす」

「……声でかい」

「ありがとうございます!!!」

「……なにが?」

トラは挨拶されながら開かれた真ん中の道を颯爽と歩く。

「トラーッ!!!!!」

ダダダダッて音がするぐらい勢いよく走ってくる少年。

トラは何食わぬ顔でスッと避けた。

「キャッ」

「うぉっ」

「プギャッ」

赤色の少年が倒れかけた少女の肩を掴み、走ってきた少年は少女にぶつかった。
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