“俺様”大家の王国



「大変奈央ちゃん、義子が帰って来たわよ!」
 
目を擦りながら、「おのれ、またか」と思った。
 
私は、眉をしかめて玄関まで駆けて行った。
 
そこにいたのは、髪をアップにして着飾った、

テレビの中で見るのとあまり変わらない母だった。

「久し振り、奈央」
 
赤い口紅で作られる笑みさえ、

本心からきてるのか分からない。

嘘くさい。



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