“俺様”大家の王国
しかし、そうやって私が渋っていると、
彼は彼で今度は私をなだめるように、
しかし必死な口調で「早く」と急かす。
「何でですか!」
「いいから! ……頼むから、早く歌え」
(頼むって言ってる割には、命令口調じゃん。
まさに、こいつこそ『俺様』だよ畜生……)
だが、断る術を持たない私は、
(だって、年上っぽい男に真正面に立たれて、
脅しまがいに言われたら、さすがに怖いし)
不本意ながら、もう一度歌う羽目になった。
うう、変に緊張する。