“俺様”大家の王国
 


でも、歌い終えた私を待っていたのは、

意外な笑顔と褒め言葉だった。

「……いい声だ。

あの歌手なんかより、ずっといい」
 
満足気な、芸術家の表情だった。

しかも、かなり機嫌が治っている。

「あの、何なんですか、さっきから……」
 
ミエロは、にやりと笑った。
 

さては、知らなかったな、という顔だ。
 

私はまさか、と思った。

同時に、しまった、とも。

「それ、作曲したの俺」

(ぎゃーっ、やっぱり!)



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