“俺様”大家の王国
憂鬱な探偵達
……今回の依頼は、いつになく厄介だ。
もっとも、楽な依頼など、ほとんどありはしないのだけれども。
探偵達は、それぞれの持ち場につき、深い溜め息を吐いた。
それこそ、彼等の仕事は、
華やかなミステリー小説やドラマの世界とは、かけ離れていた。
今度の依頼は、人探しである。
それも、家出した大女優の娘ときた。
まあ、家出した本人の理由はどうであれ、
彼女の居場所を突き止め、書類にまとめて依頼人に提出すれば、
それで終わる話だ。
彼女は、家出後も変わらず、きちんと大学に通っているらしいので、
すぐに済むだろうと高をくくっていた。
しかし、依頼人の情報の少なさには、本当に参った。
何しろ、自分の娘が通っている大学の場所はおろか名前すら、
把握していなかったのだ。
その上、連絡先も知らないのだという。
それにはほとほと、呆れ返った。
どんな親子関係なんだと。