“俺様”大家の王国
まずそこで躓いたので、出だしは通常の人探しよりも、
遅れてしまったかと思う。
しかし、努力の甲斐あって、
家出人に物件を紹介した不動産屋を見付け、
情報提供を受ける事に成功した。
だが、それがどうにもおかしな話だと気付くのには、
それほど時間はかからなかった。
アパートの住人全員が、彼女を知らないと言った。
まるで、口裏を合わせたように……いや、実際合わせているのかもしれない……
彼女の存在を、否定した。