“俺様”大家の王国
逃亡生活、二度目
『人に見られたら困るから』という理由で、
その日の出発は早朝だった。
まだ、空は暗い。
「ちょっと、ここからは離れてるんですけど……一緒に行きましょう」
そして目立つわけにもいかないので、
直接持って行けるのは手荷物だけだった。
少しの間、生活するのに必要な着替えだの化粧品だのは、
後で十郎さんが送ってくれる段取りになっている。
そして昨夜、その荷造りに何だかんだで時間を食ったので、
私はあまり眠れなかった。