“俺様”大家の王国
「いいんですか?」
「はは……駄目なわけないじゃないですか。
気を張り詰め過ぎていたら、もちませんよ」
「ありがとうございます」
それから少しだけ喋って、言葉が途切れてしばらくしてから、
私は眠りについた。
電車の揺れが、心地良い。
誰の話声も聞こえない。
ある意味、じっとしているよりも、
こうやって絶えず体に振動が響いてくる方が、
安心出来るのではないかと思えてきた。
赤ん坊が、ゆりかごの中ですやすやと眠るように。