“俺様”大家の王国
 


――気が付くと、私は学校の屋上にいた。

覚えがある。高校の校舎だ。

誰も上らない、三階建ての建物の、最後の階段に繋がる場所。

私の、最後の居場所。
 
友達から、嫌われていたわけじゃない。

疎ましがられていたわけでもない。

だけど、いつもどこかで孤独を感じていた。

人の中にいるのが辛かった。

だから、私は一人でいる事を選んだ。

そんな、不安定な時期の事だ。
 
鍵は持っていなかったけど、

古い南京錠はヘアピンを駆使した結果、

自由に開ける事が出来るようになってしまった。


だからその日から、屋上は私の避難場所になった。


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