“俺様”大家の王国



「それはお気の毒に。

……あ、降りますよ。

こっちの階段です……」
 
言われるままに、私はふらふらと彼について行った。
 
ずっとじっとしていたので、足元がふらつく。

……貧血っぽい。
 
しかし悪い事に、もう時間は朝のラッシュに差し掛かろうとしていた。

平日よりは少ないのだろうが、

それでもかなりの人間が、塊になってぞろぞろと移動している。

「後は、ここから十分くらいなんですが……」

「……押し潰されるのは、我慢ですね」
 
私達は、満員電車に無理矢理乗り込んだ。



< 182 / 534 >

この作品をシェア

pagetop