“俺様”大家の王国
「奈央はね、私と違ってここまで演技出来ないでしょう?
だからね、演じやすい役をって……」
「……信じられない」
なんと、私の考えも知らず、
訊かずに母が単独で進めていたのだ。
「何よ、不満でもあるっての?」
「当たり前でしょ、ふざけんな!
そんなの『いい』なんて言うわけあるか!
余計なお世話もいいところ……迷惑なんだよ!」
私は、赤信号で車が停まった時、シートベルトを外した。
そのまま、帰るつもりだった。