“俺様”大家の王国
堕ろした、とは聞いていないから、産んだのかもしれない。
だけど産んだ、とも聞いていないから、
もしかしたら堕ろしたのかもしれない。
ただどっちにしろ、はっきりしているのは……
私は、自分をそんなふうには落としたくないという事。
だって、私のこの心も体も、
いつか出会うたった一人の為のものだから。
……それなのに、今日は……。
思い出すだけでも、悔しくて涙が出そうだった。
(……って、何の解決策にもなってないし……)
はっと、我に返った。
とりあえず、部屋中を掃除しよう。
空気も入れ替えなきゃだし。
気分転換気分転換……。
私は起き上がり、広い部屋の中の探険を始めた。