“俺様”大家の王国
両手を広げたケンゴロウを無視して、十郎は向き直った。
的場が遠慮なく笑い出し、
危なくケンゴロウの憂さ晴らし接吻を食らいそうになって騒ぐ。
「とりあえず皆、探偵にシラを切ってくれてどうもありがとう。
あそこでばれてたら、手遅れになるところだった。
彼女は今、事情があって実の母親から必死に逃げているんだ。
理不尽な理由で、決して彼女は悪くない。
だから、出来るだけ庇ってあげて欲しい。
……ところで、ヨシ。
君はどうしてあの連絡網を回したんだい?」
「おう」
ヨシが、嬉しそうに返事をした。