“俺様”大家の王国
「いやな、奈央ちゃんが追われてる、
ってのは薄々感付いててよ。
もしストーカーか何かが、あの子を追いまわしてて、
その上探偵の振りまでしてたらやばいと思ってさ。
それで、一番最初に俺んとこ来たんで、やべえ!
というわけで……」
「つまり、君の妄想力の勝利というわけか」
十郎は、ふむ、と腕を組んだ。
「それで、とりあえず今、彼女を俺の別宅に避難させている。
と、いうわけで……」
「もしやジューロー、お前彼女を言葉巧みに騙して拉致監禁……!?」
「違うっ」
それまで黙っていたミエロまでもが、そんな事を言い出した。
「鍵ならきちんと渡したし、普通に外出だってしてるから」
「ホントだろうな?」
拓海が、若干疑いの眼差しを十郎に向けた。