“俺様”大家の王国
「……気になるんなら、直接電話して訊いてみるといい。
そうだ。それで……ヨシ」
「何?」
「名刺持ってるか?」
「とび職に名刺なんてあっても邪魔だぜ。
職人は紙じゃなくて、腕で自己紹介するもんだって棟梁が」
「お前のじゃない。
探偵のだよ。
……誰か、誰でもいいんだ。
今、持ってる人」
「はぁい!」
ポケットを探っていたヨシを押し退け、
ケンゴロウが元気よく手を挙げた。
「イケメンちゃんの名前なら忘れないわ……
だから、こうしてほぅら♪」