“俺様”大家の王国
「だから違うってば。
何度も言わせないでよ」
悪い事に、滝野は私が十郎さんと同棲していると勘違いしていた。
勘弁してくれ。
「この部屋は、借りてるだけなの。
ほんとは、この事話すのもルール違反なんだからね」
「分かってますー。
照れちゃってもう」
「コンニャロー」
滝野は、キャッキャッと笑い出した。
声もリアクションも大きい。
完全にハイになっている。
そして何だか、母を思い出す。
……これが酒の魔力か。
そのうち滝野は、唾液が気管に入ったらしく、盛大に咳き込んだ。
え、ちょっ……まさか!
「お願い、絶対ここでゲロ吐かないで!」
「へへ、大丈夫だって……」
私が滝野の背中を軽く叩くと、咳は治まった。
しかし油断した途端、滝野は私にのしかかってきた。