“俺様”大家の王国
終わりの方は、ほとんど訴えかけるようになっていた。
だが、どうしようもない。
所長は、観念してゆっくりと説明を始めた。
事務所の経営を、助けてくれている企業があること。
そこの社長は旧知の人間で、個人的な付き合いもある事。
そして、その会社から『追うな』と告げられた事……。
ざっと、そんな感じだった。
裏に絡んでいるものの深さは、所長の判断から推し量れた。
所長は最後に、すまない、と付け加えた。
その表情は、とても寂しそうに沈んでいた。