“俺様”大家の王国
「起こしましょうか?」
「いえ、結構です……」
「あの、もしかして卵酒嫌いでしたか?
卵の臭み消しと思って、はちみつと生姜も入れてみたんですけど……」
「いえ、そうじゃなくて……あ、そこのテーブルに置いて貰えますか? 後で飲みます」
「そうですか。なら、ここに置きますね。……おや?」
足元に、何かが落ちていた。
それが、衣類だと一目で分かった。
(やだ、私ここに何か脱ぎ散らかしたっけ?)
しかし、慌てて拾おうとしたら、
「だあああああ!」
十郎さんが奇声を発しながら、上半身裸で飛び出して来た……。
―――…………!?
「あの、その服は僕のです……汗が冷えて急に寒くなったんで、
着替えてて……そしたらドアが開いたものですから、
咄嗟に隠れただけで……あ、ですからこれは別に、
やらしい目的があっての事じゃなくてですね……!」
「……びっくりした……」