“俺様”大家の王国
十郎さんと拓海さんが何やら話をしている間、
私はとんでもない事を仕出かし、気持がとても沈んでいた。
「のわああああ……」
電子レンジを開けた時には、もう手遅れだった。
「固まってる……」
ミエロが、ぽつりと呟いた。
(うっかりしてた……)
無精したのがまずかった。
うっかりキーを『飲み物』にせずに、普通の『あたため』にしていた。
結果、私が雑炊の準備に気を向けているうちに、卵酒は酒臭いプリン、
あるいは出来そこないの茶碗蒸しのようなものになっていた。
「卵、入れすぎたのかな……」
(せっかく作ったのにー!)
「いいじゃん。これ持ってっちゃおうぜ。
あいつには固まった卵酒がお似合いだ」