“俺様”大家の王国
忍び寄るもう一つの影……
突然マネージャーが迎えに来て、何かと思った。
「あの方がお呼びだから」と、意味の分からない事を言われて、
実際会ってみて何かと思った。
「はじめまして、光君……」
煙草の煙を吐きながら挨拶されて、俺は更に困惑するはめになった。
紅原綾子が、俺に何の用だ……?
「は、はじめまして……」
俺が向いのソファーに座ると、彼女は煙草を灰皿に押し付けて、話を始めた。
内容をざっとまとめると、こんな感じだ。
女優にしたいのに、娘が逃げたからそれを捕まえて欲しい。
自分で探したいのは山々だけど、
今度映画のロケで何カ月か北海道に行かなきゃならないから、この先自力じゃどうにもならない。