“俺様”大家の王国
しかし、下手に取り巻きを使って、取り返しのつかない事にでもなったら困る。
だけど、期待してた探偵が役立たずだったから、ドラマで共演する予定のあんたに頼む。
それなら過ちを犯そうにも犯せないだろう。(何その理論)
ぶっちゃけた話、探し出して説得してくれさえすれば、それ以上は望まない。
むしろ、それ以上を望まない。
この世界で成功したいのなら、今はこれが近道だと思え。
「全ては、あなたの容姿と演技力にかかってるわ。
……まあ、もしうちの娘一人でも動かせないようだったら、
今後俳優になったところで、大して伸びないって事でもあるでしょうね」
かちんときたのを我慢して、
口の中で「まあそうでしょうけど」とごにょごにょ答えた。
「というわけで、後は頼んだわよ」
紅原が席を立とうとしたので、慌てて訊いた。
「あの、一応引き受けさせて頂く上で、大事な事をお聞きしたいんですが……」