“俺様”大家の王国
目を開けそうになって、ぐっとこらえる。
でも、緊張しているのは多分ばればれだっただろう。
火が出そうな顔の温度は、しっかりと触れた彼の手が感じているに違いなかったから。
数秒後、離れて。
へたり込みそうになった私を、十郎さんはしっかりと抱きとめていた。
「もう、目を開けていいですよ」
言われなくても、もう開けていた。
でも、頭がくらくらしていて、まともに立てなくなっていたのだ。
今のは、もしかして……もしかしなくても……。
「これで、二度目ですね」
(なっ!)
「あ、もしかしてあの時のキス、事故だとでも思ってました?
わざとなんですよ」
信じられないのと羞恥心で、彼の顔がまともに見られなかった。
けど、十郎さんが何やら楽しそうなのは伝わってきた。