“俺様”大家の王国
(ああ、これはよくないパターンだ……)
私は、ゆっくり十郎さんから離れて、壁にもたれかかった。
そして、右手を振り上げて、
力の限り、彼の頬をぶっ叩いて、走り出した。
確か、こういう時は相手を蹴ったり殴ったりしていいんだよね。
だって、このままじゃ危ない展開になりそうだったし。
『もし、気に入らない相手に妙な事をされたら、迷わずボコりな!それで正しい!』
かつて、まゆりがそう力説していた。
逆に、OKな相手なら、大人しくされるがままになっていればいいのだそうだ。
生憎、私がその手段を選ぶのが、いつになるかは分からないけど。
(別に、十郎さんが嫌いなわけじゃないよ……)