“俺様”大家の王国
私の手は、『パー』だった。
要するに平手打ちだ。そこまで頭が回らなかった。
(つまり、私は自分で思ってる以上に、『女の子』だったんだ……)
強くも賢くもない、非力でどこにでもいる女の子。
大昔の少女漫画に出てきそうな、ステロタイプのヒロイン。
祖父母の話によると、私は昔、結構やんちゃな方だったらしい。
男の子に混じって、プラスチックの××レンジャーの剣を振り回していたのは覚えてるけど。
おままごとなんてやらせてみようものなら、平凡なストーリーはめちゃくちゃ。
最後には必ず怪獣のビニール玩具が登場して、突然地球が侵略された事になって、お皿に見立てた葉っぱの並んだ食卓を蹴散らして、
一緒に遊んでいた女の子を泣かせて終了、だったとか。
都合の悪い部分は、すっぽり忘れていた。
でも、中学になって制服ではっきり男女が分けられて、毎日スカートをはかされているうちに、何だかおかしくなっていった。
男子は何やらそわそわ、女子は数人ずつ群れてクスクス。
そのどっちにも嫌悪を感じつつ苦渋に満ちた中学時代を乗り越えた後、どんどん膨らんでいく胸や腰を見て、やっぱり自分は女なんだと思い知った。
いや別に、男になりたかったわけじゃないけど。