“俺様”大家の王国
そう言われると、ぐっとくる。
私にしかできない事。
私が必要だと、言ってくれる人……。
「……仕方ないですね。でも、ちょっとなら……」
その言葉を以って、ミエロはレッスンを始めた。
しかし、その内容はというと……恋する少女が思うような、
若い男女が密室で、というシチュエーションの持つイメージを裏切るような、結構な修羅場だった。
はじめは、発声法から。
少し慣れた頃に、ミエロの例の曲『TRISTITIA』(『我思う、故に我あり』の方)を歌った。
普通は童謡とか、発声とか他にも色々必要な事を含めた簡単な歌を歌うのだろうけど、
ミエロは待ち切れないみたいだった。
『TRISTITIA』の歌詞はうろ覚えだったけど、ミエロが手書きの歌詞カード(字が汚い)を渡してくれたので、何とか歌えた。
読みづらかったけど。というか、ほとんど読めなかったけど。
音は、作曲者のピアノ生演奏だ。