“俺様”大家の王国
意外にもあっさり謝られてしまい、奈央は拍子抜けした。
でも、反省する意思があるのなら……。
「さっきはカッとなって、心にもない事を言ってしまいました」
(……ん?)
「いくら冗談でも、奈央さんを他人にくれてやろうなんて発言、今の僕には信じられな……」
「あの、話が見えないんですけど」
奈央は、十郎の言葉を遮った。
まるで意味が分からなかった。
この人は、一体何に謝っている?
「安心してください。僕は奈央さんを、決して他の男にあげたりしませんから」
奈央は数秒、フリーズした。
はい、ちょっとここで落ち着こう。
えーと、今この人は何て言った?
そうそう、自分を他の男にあげないんだと言った。
おかしな日本語だ。
これじゃまるで、私が既にこの人の所有物だって言ってるようなもので……って……、あれ。
そういう意味じゃん、この話。
何なのこの人ー!
「どうかしました?」