“俺様”大家の王国
「いや、本当に無理なんだ俺は……写真とかテレビでは平気だから問題ない……
でも実物に出くわしただけで、動悸・息切れ・眩暈その他諸々の症状が出てくるんだ。
……だから犬だけはマジでやめて……」
「そんなふうにびくびくしてるから余計駄目だって思うんですってば!
ほーら実際に触っちゃえば何て事無い……」
小林は、嫌がる拓海の腕を引っ掴んだ。
拓海はがくがくと震え、首を横にぶんぶん振って抵抗したが、
そんな彼の腕を小林は笑顔で捩じり上げた。
「ぎゃーっ! 痛たたたた!」
「はい、しばちゃーん……ちょっと大人しくしててねー!」
「勘弁してええええっ!」
拓海は力の限り叫んだ。
しばちゃんは、何を思ったかそんな拓海の掌をぺろっと舐めた。
「――っ!!」
拓海は、失神した。