“俺様”大家の王国



「そういえば奈央ちゃんは、近所の人とは仲良く出来てる? 騒音トラブルとかない?」

「ん? 仲良く出来てるよ。トラブルも特に無……」

「そう、それは良かったわ」

(むしろ、あれは仲が良すぎた上でのトラブルというべきなのかな……!?)
 

思わずチョコレートのキューブをごくりとやってしまい、喉に詰まらせそうになったのを無理矢理お茶で流した。
 

咳払いをして、何とか誤魔化す。


私は体操座りになって、こたつの布団に顔をうずめた。

「……ねえ、おばあちゃん。おばあちゃんは、何でおじいちゃんと結婚したの?」
 

ちらりと祖母を見やると、祖母は突然振った話題にきょとんとしていたが、すぐ答えてくれた。


「えーとそうね……家同士が決めた事だったし、

時代が時代だったから、あんまり深く考えないで結婚しちゃったわけだけど……

うーん、強いて言えば、あれかしら」


「あれってなあに?」

「おじいちゃんね、すごく背が高かったの。

で、お見合いした中で一番格好良かったから……」



< 349 / 534 >

この作品をシェア

pagetop