“俺様”大家の王国
「そういえば奈央ちゃんは、近所の人とは仲良く出来てる? 騒音トラブルとかない?」
「ん? 仲良く出来てるよ。トラブルも特に無……」
「そう、それは良かったわ」
(むしろ、あれは仲が良すぎた上でのトラブルというべきなのかな……!?)
思わずチョコレートのキューブをごくりとやってしまい、喉に詰まらせそうになったのを無理矢理お茶で流した。
咳払いをして、何とか誤魔化す。
私は体操座りになって、こたつの布団に顔をうずめた。
「……ねえ、おばあちゃん。おばあちゃんは、何でおじいちゃんと結婚したの?」
ちらりと祖母を見やると、祖母は突然振った話題にきょとんとしていたが、すぐ答えてくれた。
「えーとそうね……家同士が決めた事だったし、
時代が時代だったから、あんまり深く考えないで結婚しちゃったわけだけど……
うーん、強いて言えば、あれかしら」
「あれってなあに?」
「おじいちゃんね、すごく背が高かったの。
で、お見合いした中で一番格好良かったから……」