“俺様”大家の王国
 


おばあちゃん、これが騒音トラブルっていうのかな……。

何だか、ちょっと違う気もするんだけど。

 
インターホンを押すと、意外にもすぐ部屋の主は返事をよこしてくれた。

「あの……こんにちは、隣の部屋の緒方です」


 こんにちは……えーと、どうかしたかな?


(……何か、凄い存在感の無い声だな……)


「それはこっちのセリフっていうか……あの、今、凄い声がしたんですけど……」


 あ、すいませんそれ俺が上げた悲鳴だ
 

返答に困っていると、ドアががちゃりと開けられた。



 こんにちは
 

中から出てきたのは、グレーのスウェットを来た青年だった。

おしゃれのつもりなのか単に邪魔だったからなのか、ヘアピンで前髪を留めていた。


 とりあえず……中入る?


「え、いえ別に……?」


 ちょっと待ってて




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