“俺様”大家の王国
部屋の主――的場さんの無事が確認出来た時点でもうどうでもよかったけれど、
彼はドアを閉めるなり何やら部屋の片付けを始めてしまったらしかったので、
仕方なく私はそれが終わるのを待った。
ほどなくして、どうぞと声がかかった。
「……お邪魔しまーす」
部屋の中は、テレビが異常に大きい事を除いて、こざっぱりとしていた。
全体的に、物が無い感じだった。
しかし、どうやらそれは床に散らばっていた物を全部一気にクローゼットに押し込めたからのようで、
良く見るとクローゼットは少しふかふかと浮いていた上、中から何かのコードがはみ出していた。
緒方、奈央さんていったっけ。まだ未成年?
「え? あ、はい。ギリギリ……」
急に話しかけられて、びっくりした。
……聞き取りづらいというわけではないけれど、何だかとても的場さんの声は独特なのだった。
じゃ、ジュースね。
「あ、大した用じゃ無いので、お気遣いなく……もう帰ります」
いいからいいから。そこ座って
「は、はあ……」