“俺様”大家の王国
「うっさい、塩で目の中ザリザリいわせろ!」
十郎が熱くなる一方で、光太郎も負けてはいない。
彼は伊達眼鏡を深くかけ直し、十郎の手元を手刀で軽く弾いた。
塩の小瓶が叩き落とされる。
すると、十郎は反対の手で、光太郎の伊達眼鏡を外した。
傍観していたミエロは、とばっちりを受けないように距離を置きつつ、
呆れたようにその様子を眺めていた。
「今更、お前と話す事なんて無いぞ!」
十郎は言った。
「へえ、じゃあいいの?
あの子俺が狙っても!」
しかし、光太郎の言葉に、眉をひそめる。
「前にここにいた、奈央って子と……俺、今度会うつもりだから」
「どういう意味だ、それ……」
十郎とミエロが若干狼狽すると、光太郎は続けた。