“俺様”大家の王国
しかしそれ以上に、事も無げに話す十郎に、ミエロは頭がくらくらした。
「……要するに、ママンが雇った探偵に圧力かけて止めたのはいいものの、今度は別の手で来たって事?
で、その探偵のうちの一人が、犬連れて新しくパレスに入居する事になった小林なんとかって奴で……?」
「まあ、そうなりますね」
「……一つ、言っていい?」
「何でもどうぞ」
「あんた外道だね」
「今更ですよ。別に何言われたってどうしようもないし……」
十郎は、大きな溜め息を吐いた。
しかし、ミエロの暴言などこれっぽっちも気にしていない。
そして、事もあろうにこう続けた。
「ああ、もういっそ僕は、奈央さんを箱の中にでも閉じ込めておきたい……。
そうすれば、誰にも見付からないで済むのに……」
十郎のよろしくない発言に、常識人であるミエロは小さくつっこんだ。
「……犯罪じゃん」