“俺様”大家の王国
マンションで起こった事を知る由も無く、私は文化祭の準備をしていた。
とは言っても、今日は罰ゲームの準備の方だ。
運悪く会合に穴を開けた私たちは、空き教室で委員長が用意したメイド服に袖を通していた。
「メイド服っていうから、てっきり超ミニのフリルだと思ってた……」
衣装を身に着けたクラスメイトの女の子が、準備室から借りてきた姿見を見ながら言った。
メイド服は装飾の少ないシンプルなデザインで、スカートは膝下……
というより、床上数センチの丈まであった。
いわゆる、正統派メイドというやつなのだろう。
「……世間には、すぐ猫耳だの尻尾だの付ければ、それでいいみたいな事言ってる廃人もいたりするけど、
メイドはやっぱ正統派を貫くべきだと思うんだ僕は。
レースキャップ、ロングスカート、フリル万歳!
という事でご用意致しました!
御試着あれ!」