“俺様”大家の王国



彼女は頭にサニーレタスみたいなキャップを着け終えると、私を見て言った。

「バレッタ……貸そうか?」

「え?」

「ここ、留めるのに」
 
自分の胸元を指差して、彼女は自分で着けていたバレッタを外し、手渡してくれた。

髪留めから解放された、彼女の黒髪はさらりと美しく揺れ、ちょっとどきりとなった。

同性でも、ここまで綺麗な髪は羨ましい。


「ありがとう……」
 
悪いとは思ったが、私は素直に受け取り、布留めに使わせて貰った。

これでさっきより、大分マシになった。
 

しかし、春希ちゃんは何かまだ気になる事があるようで、じーっと私を見ていた。
 
控え目に私が首を傾げたら、彼女は言った。


「緒方さんって、胸大きいね」


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