“俺様”大家の王国
「何で?」
「だって、まだ私達会ったばかりじゃないですか。
それにさっき、私に意地悪したでしょう!」
「それだけ?」
「~~~~っ」
彼は不躾にも、私の頬に触れた。
よくもまあ、こんなに大胆な事が出来るものだと思う。
「わ、私はそういう浮ついた事は、したくないんです……」
振り払いながら答えると、彼は口を尖らせた。
「ふうん。そうやって断るんだ」
「嫌な言い方しないで下さい」
「――もしかして、怖いの?」
「怖い……?」
「それとも嫌悪?
君は、恋をするのが嫌なの?」
「………それは……」
考えた事が無かった。
「……恋愛とか、そういうのは私には、まだ早いって……思って……」
「世間的に見たら、そうでもなくない?
少女マンガの主人公は、大抵女子高生だし、女性の結婚は十六歳から認められてる。
君はもう、大学生でしょ?
『早い』って事は無いと思うんだけどなぁ……」
「………っ」