“俺様”大家の王国
しかも次第に十郎は、拓海やミエロが、奈央に近付くと、嫌な気分になっていった。
嫉妬していたのだ。
その焦る気持ちは、日に日に強くなっていった。
特にミエロは、奈緒の魅力に気付きかけている……。
焦りは、いつしか衝動になった。
そして……。
満員電車で偶然を装って、半ば無理矢理に、彼女の唇を奪った。
奈央の反応は、予想以上だった。
十郎は、キスだけでうろたえて涙目になってる奈緒が、可愛くてならなかった。
純真無垢で何も知らない彼女を、自分のものにしたいと思った。
彼は初めて、他人にここまで執着した。