“俺様”大家の王国
秘密の酒盛り・再び
「十郎の様子がおかしい」
と、拓海がヨシに言った。
何故彼が夜遅く、突然彼の部屋に押しかけたかと言うと、
実のところパレスの中では、ミエロ以外にろくな話し相手がいないからだった。
新しい隣人、小林は天敵であるし、的場は重度のアニメオタクだ。
ケンゴロウは、油断してベッドで寝技に持ち込まれてはいけないという、また違った意味で近寄りがたく、
ミエロは彼が夜遅くまで起きていない事を知っていたので、拓海なりに気を遣ったのだった。
しかし、ヨシはこうした急な訪問を、何とも思っていないようで、
例によって、くわえ煙草でチューハイの缶を片手に、相槌を打っていた。
「……なるほど。確かにね。
俺も、家賃渡しに行った時それ思ったわ。
体調悪いのとも、ちょっと違うみたいだしな」
「そうそう」