“俺様”大家の王国
パーティー開けにした裂きイカをかじりながら、拓海は言った。
「何つーか、こう……心ここにあらず、的な」
「陰気な感じで」
「ぼんやりしてるような」
「……うーん」
拓海は裂きイカを咀嚼しながら、ヨシは柿の種を口に放りながら、考えた。
「……原因はやっぱ、あれだろな」
「何?」
「お姫さま」
「あの、ちっちゃい子?」
「いや、お前がでかすぎるだけで、そんな小さくないってば」
「美人だよな……」
「料理も上手いし」
「何より、母親がかの大女優、紅原綾子だぜ」
「マジかよ! え、それどこ情報?」
「ミエロから聞いた。
ジューロー陛下が、ポロリと口を滑らせたんだと」
「うーわー……どおりで、変わってる子だと思ったよ。
言われてみれば、確かに大物的な雰囲気あるもんな……」