“俺様”大家の王国
「そういやミエロは、逆の事言ってたな。
レッスン中に居眠りされた、って」
「何だよそれーっ!
てかレッスン!? は? 何の!」
「歌、とか言ってたかな。
あの子に、自分で作曲した歌を、歌って欲しいんだと。
ロマンチストな野郎だねぇ」
「うっわ、下心見え見えじゃん……つーか、
マジかよー……敵、多すぎるじゃんかよ……」
拓海は、テーブルに突っ伏して、小さな声で言った。
――だけど、本当はそういう事じゃない。
しかしそれを分かっていながら、認めるのが何だか悔しくて、結局黙り込んでしまった。